宝石の国 97話
10巻特装版の電子版が8月23日より配信予定とのこと。市川春子の煮凝りみたいな濃密な描き下ろしに加え、市川先生のHPで公開されていた宝石の国のプロト版など収録されているので未読の方はこの機会に是非。
私も買おうかな。 97話「夢」 周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるか 一万年は経ちましたか。 フォスが月人引き連れて来襲した時を思い起こさせるけど、あの時は黄昏時、今は夜明け、かな。地に立つ者と空から訪れる者(一部)も逆転。ただ、空が明るいのは月人自体が発光しているだけで普通に夜かも。 フォス……ミルメークのチューブみたいって思ってごめん、いやだってあまりにも。 何だか随分シンプルかわいくなっちゃって、ドラゴンボールなら一番やばい段階のやつですね。142ページを見ると鳥っぽい?鳥と言うか……ガッチャマン(またそれか) 古代文明の壁画か何かの鳥を市川春子ナイズしたような。もしくは宇宙人。人類、羽のある生き物に己の魂の形を託しがちなわけですが、仏教で鳥と言うと迦楼羅とか迦陵頻伽が出てくるけどまあ関係ない感じ。むしろガッチャマンに擦りこまれて私だけが鳥に見えてる気もする……。 ところで君、身体に穴空いてるよね?背景と同じトーンなので多分。しかしその向こう側は胴体があるんじゃないかというところで胴体見えてなかったり、シンプルなくせに色々謎な構造。ああ、僧形にも見えますね。そういえばブッポウソウという鳥がいた(鳥から離れろ)。ヴェネチアのカーニバルのお面ぽさもあるかな。 頭部の波紋のようなものが消えたのはインストール完了したといいうことなのか、月人たちの襲来に気付いたせいか。 インストールと言えばですね、先日パッケージで購入したゲームのディスクをうきうきとPCに挿入したところ何故だかインストールに異様に時間がかかった挙句、起動してみたら音声データがぬけていてインストールし直す(まだしてないけど)はめになったことを思い出したり。今時、パソコンにディスク挿入してインストールするゲームなんてアレだろ?なんてことは節度のある大人がつっこむものではありませんよ。さておき。 一万年インストールやり直しはつらいですね、誰にとってつらいのかは知らないけど。フォスのことなのであれこれ抜け落ちてそうな気はします。その粗雑さと、あれだけ散々やらかしても全く反省しない無駄な我の強さが吉と出るか凶と出るか。吉凶も誰にとってのものだかよく分かんないな、これ。ラピス・ラズリの優秀なおつむをつけて逆に(エクメアの誘導があったとは言え)愚かしさの方にギアの入っちゃった子が、プログラムをインストールしたからと言って仏様になるとも思えないんですよね。金剛の記憶を見せられてもフォス自身がそれについて考え、内省していたわけでもないようだし。 襲来した月人はエクメア以下元からの月人と、元宝石、元アドミラビリスに別れて配置。宝石が一番少ないのかな。まあ月にいる全員が来たとも限りませんが。月人化しても種としてのアイデンティティは喪っていないようで……良いやら悪いやら。「助け合えず終わる人類」がここに繋がってたりしませんか。 アドミラビリスはウェントリコスス、アクレアツス、ウァリエガツスの三者確認できますね。彼らはフォスに対して好意的、少なくとも遺恨や確執はないはずですがさて。それにしても彼らは死というものを受容していたように思うんですが、同意もなく復活させられて肉体の寿命をはるかに越える年月を故郷の海でなく月で送らなければならないことについてどう思ってたんでしょうね。短命で満足に生きられない生に価値を付加するための方便としていた可能性もなくはないでしょうが。自分の生に価値を見出だそうとすること自体は否定されるべきではないし。 何かこう改めて、他者の祈りを得られないと成仏できないシステム、最悪だよなあ……自力で何とかする方法、本当にないんですか。生まれ落ちた時から他者とのしがらみに首絞められてきたのに、逝く時くらい独りにしてもらえませんかね。祈らされる方だって迷惑だ。と思う私はこの世界の住人じゃなくて本当に良かったな。 フィクションで魂とか幽霊とか輪廻転生とかって話が出てきた時にはそういう「お約束」として受け入れますが、私自身は肉体を離れて存在する意識(の自立性)には懐疑的で、と言うか正直そんなもにあって欲しくないんですけど。意識は肉体の必要から生じた機能であって、意識を生成する肉体がなくなれば当然一緒に消滅するんですよ、もし何らかの形で残っていたとしたらそれはただのデータであってそれ自体が思考する主体であるわけがない……と思うんですけどね。その21gは肉体を離れた瞬間から私ではないよ。 だれかたすけてにんげんにうまれた さはらこあめ (アフィリエイトリンクではありません) 話がすっ飛んだところで最後の人類の話。アユム博士。「最後の一人が寂しくないように」金剛を作った張本人こそが最後の一人になったのかな……それともまだ他に生存者いるのか。 ルチルっぽいですか?(カンゴームとアンタークを混同した奴の台詞だからな…)月人の模造品は流木アートか?と思っていたけど意外にちゃんと実物を再現していたんですんね。 ポテトチップスでワイン(ではないが)飲んじゃうタイプですか。私か。 窓から煤の舞いこむ部屋で親子二人が芋を食らう図(いや金剛は食べてないけど)、映画『ニーチェの馬』を思い出して憂鬱になれますね。砂を噛むような日常が延々繰り返されるだけの終末世界。さておき。 最後?の晩餐にポテチ。嗜好品は自分の血液しかないんですか。最近、人に勧められて始めたゲームで豪勢な中華料理がこれでもかと並べられるのを眺めているのでギャップが結構辛い、というのもさておき(先月にポテトチップスだけは美味しそうとか書いた報い…?)。食事の荒廃は身体の荒廃と密接なわけで、機械を継ぎはぎしたその身体は生存に特化したものなのか、何か他の機能を得るためのものなのか。フェティッシュな感じはあるけど見た目を整える余裕は多分なかったんだろうなと。皮膚が爛れているのは流星雨の被害?人類、外的要因による滅亡の危機が目前に迫っていても平気で戦争やっちゃうから分かんないな……愚かで哀れな私達。そういえばドント・ルックアップをリストに入れたまままだ観てないな。観よう。 弱々しくて重要な鉱物、恐らくフォスのことだし、継ぎはぎの身体……金剛がフォスを人間として認識したのってそういうこと? 137ページ、爛れた皮膚が割れて頭の中の空洞に宇宙があるかに見える描写、今月の一番好きなコマです。「私が偶然ここにいただけ」は充分傲慢じゃないですかね、自覚した上での諧謔かもしれませんが。 隕石がガンガン降り注ぐのに比べれば人類の環境破壊ごとき些末なことではあるでしょうね、どのみち地球だって永遠にあるわけじゃなし(※これは皮肉です)。無自覚かつ迂遠な自殺に巻き来れた他の種がどう思っているかは知りませんが。 ところで金剛の外観が変更されたというのは、元々は兄機と同じで人型ではなかったのかな……と思ったけど服を着てたなら違うのか。自分好みの外観にした被造物に自分を親と呼ばせる心理、分からん。まったく分からん。 文脈を素直に取るなら「一方的に利用され続けた無機体」は宝石の出現を予期していたわけではなく、人間に造られた機械のことだと思われますが。人間の絶滅した世界で機械の楽園でも出現させるつもりだったのかな。金剛と兄貴を使って。その世界に人間の残滓は不要で、だから「渡ったら橋は燃やして」なの?金剛はみんなと無に行くつもりのようですが。しかし博士にしてもエクメアの思惑やフォスの存在は予測してないだろうし。 ああ、いや、だったらまず博士が祈って人間の魂を向こう側にやっちゃえばいいんですよね……と思ったけどどうなんだろう。月人て生前の個々人の魂ではなく、それらが混じり合った上で、混じったままの状態で分離したものですよね?祈りの質を問わないとは言っても、誰かのための祈りはその誰かが混じった魂に対しても有効なのか無効なのか。それにまあ、自分以外の人類全部のために祈るは無理があるかな……。 「橋」が三途の川を渡るための橋=向こう側に行くために必要な何かを意味する比喩であろうと言うのはそう的外れでもなかろうと思われますが。そういえば天の川に橋を渡すのはカササギ。(鳥から離れて) 人類に助け合いはハードル高すぎるんだよね(仕事のストレス)。大概の人類は誰かがどうにかしてくれると思っているから自分が何かしようとか思わないし、たまに何かしようとしても自分で考えることに慣れてないから的外れなことしかしないし(仕事のストレス)。それに全員が右に倣えすることが助け合いだと思ってる人類ちょっと多すぎでしょ(何もかもストレス)。個が確立してないと助け合いは不可能なんですよ。 所詮人間の作った機械がそんなに合理的で在れるものかしらね、とも思います。 来月のアフタヌーンは何故か24日発売。忘れないように気をつけねば。 7/28追記 やっぱり一応反応した方がいいのかなあと思ったので一応…… かみはバラバラになった いいんですよ、若い人は分からなくて。私もサガフロからの人だし。(担当氏かしら)
by kinoe0517
| 2022-07-26 23:24
| 宝石の国
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by 高野 |
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